今日の日経を題材に法律問題をコメント

2004年07月22日(木) 和解で何割認められれば「実質勝訴」といえるか

 日経(H16.7.22付)社会面で、ヤオハンが粉飾決算によって、同社の転換社債を購入した人たちが損害を受けたとして損害賠償請求をした訴訟で、旧経営陣らが約1億円を支払うことで和解が成立したと報じていた。


 その記事で、原告側弁護士が「和解金額は損害額の6割にあたり、実質勝訴といえる」とコメントしたと書いていた。


 このような訴訟では証拠が十分ないことが多く、勝訴の明確な見込みはなかったと思われるから、6割でも「実質的勝訴」というコメントをしたのだろう。


 ただ、一般論として言えば、和解で請求額の6割が認められても、「実質勝訴」とは言わないだろう。


 決まりがあるわけではないが、感覚的には、請求額の8割程度の和解であれば、実質勝訴したと思う。


 というのは、今後裁判を継続する負担、勝訴判決となっても控訴されるリスク、強制執行の負担などを考えると、2割減額しても、和解を成立させた方がメリットがあると思うからである。


 もっとも、依頼者は100%自分が正しいと思っているから、「なぜ2割も譲歩しないといけないのか」と不満を持つことは多い。


 ということで、弁護士としては、和解で請求の8割が認められるのなら実質勝訴と思うのだが、2割減額させられた依頼者は不満を募らせ、板ばさみにたたされることがある。


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