| 2011年05月09日(月) |
風評被害の前向きに対応 |
日経(H23.5.9)2面で、菅直人首相が、福島第1原発事故の風評被害について、「責任があるものはちゃんと補償すべきだ」と述べ、前向きに対応する考えを示したと報じていた。
今回の風評被害が原発事故に起因することは明らかである。それゆえ、菅総理の「ちゃんと補償すべき」というのは当然の判断であろう。
しかし、法律上は簡単ではない。
というのは、もともと原子力損害賠償法では、風評被害は損害賠償の対象と考えていなかったと思われるからである。
すなわち、原子力損害賠償法での賠償の対象を、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用、又は、核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)によって生じた損害としている。
「放射線の作用によって生じた損害」という文言からすると、立法者は「風評被害」までは想定していないと思われる。
もっとも、原子力損害賠償法の適用がないとしても、一般の不法行為責任を問うことはあり得る。
しかし、その場合には相当因果関係の有無が問題になってくる。(原子力損害賠償法が適用される場合でも問題になるが)
原発事故と風評被害についてはいくつかの裁判例があるが、多くは相当因果関係を否定している。
したがって、風評被害については特別立法をつくって対応するのが一番すっきりすると思う。
なお、風評被害も賠償(補償)されるとしても、被害に遭った人たちは、それを待つだけでなく、例えば農家の人であれば、これまでの出荷の記録、取引できなかった事実などが客観的に明らかになるような証拠を自ら保存しておくことが望まれる。
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