今日の日経を題材に法律問題をコメント

2013年06月12日(水) 「あたご」と漁船の衝突事件で、被告に無罪判決

 日経(H25.6.12)社会面で、千葉県沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船が衝突して漁船の親子が死亡し、当時の当直士官が業務上過失致死罪に問われた事件で、東京高裁は、「あたご側に回避義務は認められない」として、被告を無罪とした一審を支持、検察側控訴を棄却したと報じていた。


 一審裁判所は、衝突直前の漁船の動きを、検察側、弁護側いずれの主張とも異なる独自の航跡を認定して、「あたご」に回避義務はないとした。


 これに対し、東京高裁は、一審が認定した航跡を否定し、他方、検察側の主張する航跡の信用性も否定した。


 その結果、漁船の航跡を一定の幅を持った航跡でしか特定できず、その「幅」の中で被告に最も有利になる航跡を選択し、その航跡によれば「あたご」の回避義務は否定されるとしたものである。


 一審判決が独自の航跡を認定したことは、無理があったと思う。


 というのは、裁判所に独自の調査能力があるわけではなく、裁判所に提出された証拠から判断するしかないのであるが、そのような証拠収集上の限界があるのに、独自の認定ができるはずがないからである。


 これに対し、高裁判決は、同じく無罪を導いているが、事実に「幅」がある場合に被告に有利な解釈をするという考え方を採用しており、解釈に安定感がある。


 それゆえ、検察側も上告は断念せざるを得ないだろう。


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