日経でなく、ネットニュース(H25.7.31)で、土屋アンナさんが舞台稽古に参加しなかったことを理由に、舞台公演が中止になった騒動が報じられている。
この問題は、土屋アンナさんが、舞台化について原作者の了解を得ていないことを知り、その了解を取るよう要請して稽古を休んだところ、主催者側が、土屋アンナさんが稽古を休んだために公演が中止になったとして、損害賠償請求を求めているものである。
その請求の当否は、事実関係が分からないので判断できない。
ただ、公演予定だった舞台は、車いすシンガー濱田朝美さんの原作「日本一ヘタな歌手」が元となっているところ、それを「原作」でなく「原案」として表記しているようであり、この点について考えてみる。
「原案」というのは、非常に曖昧な概念で法的意味ははっきりしない。
ただ、一般的には、原作を元の形がなくなるほど大幅に改作した場合に、「原案」と表記しているようである。
そして、通常は、「『原案』とした場合には、原作者の許可は本来は不要であるが、儀礼上、許可を求め、かつ一定の支払いをしている」という認識のように思われる。
しかし、「原案」と表記すれば、「原作者の許可は本来不要」というわけではない。
翻案権(原作を脚本化するなどの権利で、著作権の支分権)について判例は、「既存の著作物に依拠して創作された著作物が、アイデアや事件など、表現といえないものや、表現上の創作性がない部分が、既存の著作物と同一性であるにすぎない場合には、翻案には当たらず、翻案権の侵害にならない」としている。
したがって、脚本が、原作のアイデアを借用しただけであれば、翻案権の侵害にならないが、表現上の創作性のある部分と同一であれば、たとえ「原案」と表記していても、その脚本は翻案権の侵害になる。
その線引きは、当事者にすればなかなか微妙である。
それゆえ、和解的な解決として、「原案」と表記しながらも、原作者の許可を求め、一定の支払いをしているということになるのだろう。
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