日経(H26.4.30)2面で、中国の司法当局が商船三井の船舶を差し押さえ、その後商船三井が40億円の損害賠償金を支払った問題について書いていた。
この問題は、1936年に中国企業が船舶2隻を日本の海運会社に貸し出し、その後、日本政府が船舶を徴用したが消息不明になっていたものである。
中国企業側は、日本の海運会社に損害賠償を求めており、中国の裁判所は海運会社の流れをくむ商船三井に対し、約29億円の損害賠償命令を出し、2011年には差し押さえの執行を通知していた。
論点はいろいろあるが、以下、政治問題は捨象し、民間企業の経営者責任という見地から考えてみる。
この問題では時効の問題など気になる点はあるが、中国の法制度に照らす限り違法ということはなさそうである。
そしてその結果、敗訴が確定し、差し押えまでされているのである。
これが、中国政府が「日本に対する戦争賠償請求を放棄する」と宣言した日中共同声明に違反しているのであるなら、安易に支払うことは問題ともいえ、別の対応もあり得るのかも知れない。
しかし、本件は1936年に起こっており、そのため日中共同声明の対象外のようである。(外務省も「日中共同声明違反とははっきり言えない」という見解である。)
そうであれば、民間企業である商船三井としては、差し押さえられた時点で賠償額を支払うしかなかったのではないか。
もちろん差押え後も和解交渉をすることもあるが、3年間も交渉を継続するということは考えられない。
だらだらと交渉をしていた結果、賠償金が10億円以上も増えてしまったのであり、これは経営者責任を問われるべき問題ではないだろうか。
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