| 2014年10月01日(水) |
裁判員を気遣って証拠として扱わないことの問題性 |
日経(H26.10.1)社会面で、裁判員を務めたことで急性ストレス障害になったとして、福島県の女性が国に対して200万円の損害賠償を求めた訴訟で、福島地裁は請求を棄却したという記事が載っていた。
予想された結論であるが、この訴訟を契機に、全国の裁判所で裁判員の精神的負担を軽減する取り組みが行われ、残酷な遺体写真を証拠として扱わないなどの運用が広がっているとのことである。
しかし、遺体写真は量刑には影響する重要な証拠であることが多い。
もっとも、被告人からすれば遺体写真は不利な証拠であろうから、それを証拠にしない方が被告人には有利かもしれない。
ただ、弁護人という立場を離れて、公平な裁判の実現という見地からすると、争いのない事件であってもそのような証拠は必要であろう。
それを、裁判員を気遣って証拠にしないというのでは、何のための刑事裁判か分からないのではないだろうか。
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