今日の日経を題材に法律問題をコメント

2014年10月24日(金) マタハラについて最高裁が厳しい基準

 日経(H26.10.24)1面で、妊娠を理由にした降格が男女雇用機会均等法に違反するかどうかが問題になった訴訟で、最高裁は、妊娠や出産を理由にした降格は「本人自身の意思に基づく合意か、業務上の必要性について特段の事情がある場合以外は違法で無効」とする初判断を示したと報じていた。


 この事件は、1審、2審も従業員側が敗訴しており、その大きな理由は、降格について従業員が同意してと認定していたからである。


 すなわち、従業員は、降格することについて渋々ではあるが了解しており、しかも「平成20年4月1日付けで副主任を免ぜられると,自分のミスのため降格されたように他の職員から受け取られるので,リハビリ科への異動の日である同年3月1日に遡って副主任を免じてほしい」とまで述べているのである。


 普通に考えれば、同意したと認定されても仕方ないだろう。


 ところが、最高裁は、これでは同意と言えないとした。


 すなわち、「労働者が軽易業務への転換及び上記措置により受ける有利な影響並びに上記措置により受ける不利な影響の内容や程度、上記措置に係る事業主による説明の内容その他の経緯や当該労働者の意向等に照らして、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき」と非常に限定しているのである。


 そうすると、妊娠や出産を理由した降格は、ほとんど違法になると思われる。


 今後、企業しては、従業員が同意したからといって安心して降格はできないということになるであろう。


 < 過去  INDEX  未来 >


ご意見等はこちらに
土居総合法律事務所のホームページ


My追加
-->