日経(H26.12.12)社説で、労働審判制について書いていた。
労働審判制とは、解雇や残業代の不払いをめぐる争いなどについて、審判を原則3回程度で終了するなど、迅速に処理する仕組みである。
社説では、労働審判制を評価しつつ、課題の一つとして、早期決着を図るあまり、最初から金銭による解決に誘導しているケースがあるとしていた。
確かに、解雇が無効であるのに金銭的解決に強引に誘導するならば、それは解雇の金銭解決制度と同じことになってしまう。
ただ、小さな企業では、解雇無効になって職場復帰したときに、お互いがギクシャクすることは避けられない。
それゆえ、金銭的解決を試みることが不当であるとは思えない。
しかも、金銭的解決に不満であれば、和解を拒否して裁判所の判断を求めることが可能である。そのような姿勢を示しているのに、裁判所が強引に金銭的解決に誘導するような運用はしていない。
したがって、この点は「課題」というほどのことはないのではないだろうか。
労働審判制は、企業側にとっては大変であるが、労働者側からすれば使い勝手のいい制度であり、今後も申立件数は増えると思われる。
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