| 2015年02月03日(火) |
退避勧告に強制力を持たせることは可能か |
日経(H27.2.3)社会面で、過激派「イスラム国」が後藤健二さんを殺害し、今後も日本人を標的にすると予告したのを受け、テロ対策の取り組みが急がれており、自民党会合では「法改正し、退避勧告に強制力を持たせることはできないのか」との意見が出たという記事が載っていた。
ただ、「退避勧告に強制力を持たせる」といっても、身柄を確保して強制的に連行することは実際上不可能である。
そうすると、「強制力を持たせる」ものとしてあり得る方法は、退避勧告に従わなければ旅券を無効にすることであろう。(間接強制ということになる。)
しかし、そもそも退避勧告は日本人保護のためである。
それなのに、それに従わなければ旅券を無効にして保護を放棄するというのは不合理であり、憲法で保障する海外渡航の自由(条文上は「外国移住の自由」)に反するであろう。
政府も退避勧告に強制力を持たせることは難しいとの立場であり、それは妥当な判断であろうと思う。
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