| 2015年03月11日(水) |
被害者との交渉のあり方 |
日経でなく、朝日(H27.3.11)社会面で、刑事事件の被害者に被害届の取り下げを迫ったとして、弁護士が強要未遂と証人威迫の疑いで逮捕されたと報じていた。
この弁護士は、「大勢の傍聴人の前で愉快ではないエピソードがさらされることを避けるため、被害届の取り下げを検討されますように」との封書を送っている。
他にも、匿名のハガキで被害者に「お前は公開の法廷で証言させられる。何もいいことはない」とのはがきを送った疑いがあるとのことである。
仮に、匿名のハガキはその弁護士は送っておらず、送ったのは先の封書だけであれば、逮捕される事案ではないと思う。
しかし、たとえ刑事事件にならないとしても、その弁護士が書いた封書の内容は、被害者に対する交渉の仕方としてはまったく間違っている。
確かに、刑事事件であっても、被害者にも落ち度があることもあるし、容疑者にも何らかも言い分があることもある。(記事の事件がそうであるという意味ではない)
しかし、示談交渉で、被害者の落ち度を指摘したり、何らかの言い訳めいたことを言った場合、絶対に交渉はまとまらない。
これは基本的な交渉術であり、弁護士の資質にかかわる問題であろう。
逮捕された弁護士は経験が浅いのかと思って年齢を見たら、53歳という中堅の弁護士だった。情けないことである。
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