先生妄想日記 |
2004年05月24日(月) 誠実 退学してった子が、コッソリ遊びに来てくれた。 校内に入れて良いのかなぁ、と一瞬不安に思ったので、元担任の先生に内線を入れる。 「○○が遊びに来てくれたんですけど…」 「えっ、そうなんですか?本当?」 「はい。今もう教室にいるんですけど」 「それは麦先生さえ良ければ、相手をしてやって下さい。僕も次の授業終わったら行きます」 相手してもらってんのは私の方ですけどの! 久し振りに会うその男の子は、あまり変わらないように見えたけど、ちょっと口数が少なくなっていた。 髪が茶色くなって、ちょっとだけ肉が削げたようで、服はとても落ち着いただらしなさで、カノジョが出来たと教えてくれた。 「俺、もう2度と来ねぇから」 「うん」 「退学する時に、もう来ないって思ったけど」 「わはは」 「でも、今度はホントに」 「うん、だね」 「あのさぁ、先生、俺が退学する時にさぁ、エート」 「うん?」 「うーん、うん、あのさ、俺学校出る時に、誠実に生き続けるのよーって言ったじゃん。覚えてっか知らないけど」 「うん」 「覚えてる?」 「覚えてるよ」 「俺、今、自分で言うのもアレですけども、素でセイジツに生きてるよ」 「わはは、うん」 「中卒になっちゃったけど」 「うん」 「夜も遊んでっけど」 「うん」 「生き続けるのよーて、とか思ったけども、まぁ、なぁ?」 「うん」 「先生も、セイジツに」 「生きてる生きてる」 「わはは、そっか」 「そうよ」 君も、今も昔も誠実に生きてたじゃん。と思ったけど、言うのはやめておいた。 私が言う事じゃないじゃろ。 うん、それはすごい事だね、わはは。いや素で。 |