長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2006年02月24日(金) 踏み台

 兄の不甲斐無さが、私を貶める。だから私は兄と一線引かなければならないのだ。そう考えるから、私は切っ掛けを必要とした。其の切っ掛けを、一つの旅として、私は独逸に行ったのに。
 結局――私がいない間も兄は 甘えん坊 で、私が帰国してからも、相変わらずの 甘えん坊 に過ぎない。嗚呼、何たる事か! 私は懸命に無い翼を広げて飛ぼうとしているのに。兄は翼を持っていながら飛ぶことを辞め、庇護してくれる屋根の下に居坐り続けるのだ。兄は、飛ぶことを諦めたのではない、自ら翼を棄てた。私は与えられていない翼を必死に探し、生み出そうとしているのに。翼を手にした兄は、私の憧憬であり、羨望であったのに。其れは嫉妬にも近いものだったのに。今の兄は、軽蔑以外の何物でもないのだ。

 兄は、何度も私を裏切った。そして最後まで私を踏み台にすることを厭わない。

 何だよ、私は鳥の翼なんて高望みはしないよ、そう、せめて蝶の翅ほどのものがあれば、飛んでみせるのに。










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