長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2006年09月26日(火) 移植行為

 多和田葉子氏の『文字移植』は絶版本(の筈)だが、彼女の作品を幾つか読んで、そうして自分が翻訳なるものをし始めて、初めて彼女が『文字移植』で 書/描 いていたことが、少しだけ、理解できた気がする。翻訳は、受験英語を遣って来た私の英語感覚とはまるで違うところに位置しているのだ。

 文字移植。

 多分、其れは翻訳だけに限ったことではなくて。そう、人と人との間には、必ず或る種の翻訳行為が生じるのだ。だから、人は人を理解できない、人は人から理解されない、そうして他者を理解しようと努力したり、しなかったり、するのだろう。

 文字
 移植。

 会話、対話、通話、手紙、メール、チャット、……。
 絵画、音楽、造形、……諸々の表現方法。
 其れら全て纏めて、移植 する/される。

 文
 字
 移
 植。

 身を削って、言葉を傷つけて、作品を破壊して、音も旋律も崩壊させて、命さえも削って、人は、移植行為をするのだろうな。










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