実家の大きい方の猫がすごく弱っています。
彼がうちにきたのは私が中学2年の5月でした。 本当にもらうはずだった子と、 実は違う子でした。 それでも、 うちにもらわれてきて、 とてもたのしくいっしょに暮らしました。 みかんと掃除機が大嫌いだったり、 海苔とお風呂のお湯が大好きだったり、 ヘンなクセの多い個性的な子でした。
そしてなにより、 いつも家族の真ん中にいてくれました。 家族全員がばらばらになったときも、 なんにもかわらず、 そこにいてくれました。 うちの家族を、 かすかにつないでいたのは彼でした。
私と妹が家を出なければならなくなって、 いままで会話のなかった両親の共通の話題は、 彼のことでした。 孤独な心と心を、 無理なくつむぎ合わせてくれました。 今、 うちに四人が集まれるのは、 彼のおかげかもしれません。
今は、 ストーブの前でうつらうつらするだけです。 毎日、病院で点滴を打ってもらってるようです。 呼吸もちいさくて、 こころなしか背中もひんやりしています。
辛い日々です。 静かに、 すこしでも多く同じ時間を過ごせるように、 心をそっと寄り添わせていくくらいしかできません。
辛い日々です。 それでも、 いままでのたのしかった日々を思えば、 どんな日がやってこようとも、 粛々と受け止めるしかありません。
うちの猫。 たいせつな、家族。
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