改札を抜けて階段を下りると、 ロータリーには先週の雪がまだところどころ固まっていた。
毎日寒い日が続いています。 今日もストーブを抱きしめるような勢いで 暖をとっている。 あかいひかりがあたたかく、 あたらない背中がつめたい。
今日は新部長がやってきた。 几帳面そうなひとで、 まだこちらを伺っている。 とても用心深く低姿勢だ。
第一営業日は、 社内報の配布日だ。 こまごまとした作業に追われ、 あっちへうろ、こっちへとろと駆けずり回る。 それ以外の時間は昨日古本屋で買った文庫本を、 ずっとずっと読み、 やっとひといきついた。
何度も繰り返す一週間。 必死にこなす一日。
遠くなってしまった記憶。 それでも、繰り返し押し寄せる。 時間がたってどんどん失っているはずなのに、 私の気持ちは、 どんどん研ぎ澄まされていく気がします。
どこまでもどこまでも続いていきます。 思い出もあやまちも、 過ぎし日はすべて今日へ、 そして明日へ。
これからどこへたどりつくのか、 今の私にはわからない。 けれど何もわすれてないよ。 どこにたどりついても、 ずっとおぼえているよ。
私にとってたいせつなことへ、 きっと、ずっと探しているから。
つらいときたのしいときさみしいとき、 輪を描くようにいつも戻ってくる。 その言葉を私は信じている。
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