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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2005年07月25日(月)
Vol.592 夏祭りには帰ってこいよ

おはようございます。りょうちんです。

日曜日の早朝にかかってきた電話は、母からだった。こんな時間にかけてくるなんてなにか緊急事態かと思いきや、「今日は夏祭りだから、おまえも帰ってくれば?」。あいにく仕事だった俺は寝ぼけたまま無理だと告げると、静かに受話器を置いた。俺は再び布団にもぐりこんだが、夏祭りには帰ってこいよと気遣ってくれたことをうれしく思い、幼かった頃の遠い夏祭りの記憶を思い出していた。
夏祭りと言っても、俺の生まれたところの夏祭りなんて小規模で全然大したものじゃない。それでも、おみこしや出店が出たり盆踊りやカラオケ大会が催される夏祭りはちびっこだった俺らには大イベントで、本当の夏が来た気がするのだった。7月になると毎週日曜日の午後は夏祭りで披露する太鼓と盆踊りの練習がおこなわれ、祭りを待ちきれない俺はよろこんで参加していた。
毎年2日間に渡って催される夏祭り。初日はおみこしが街中を練り歩き、2日目は神社に立てられたやぐらで盆踊りとカラオケ大会がおこなわれるものだった。家では母がお赤飯を炊いてたくさんのごちそうを作ってくれ、いろんなものが食卓に並ぶと俺らは大はしゃぎした。初日の夜、はっぴ姿にねじりはちまきの衣装に身を包んで、おみこしの上で太鼓を叩く。祭りになると血が騒ぐのか、夢中で太鼓を叩いていると気分は爽快だった。沿道で見ている人からおひねりなんかももらっちゃったり、折り返しの休憩所ではスイカやジュースも好きなだけ食べられたりで、とても楽しかった。2日目、今度は甚平に着替えて神社へと向かう。教えてもらった振り付けで盆踊りを踊り、そのあとはいつも見かける近所のおじさんやおばさんのカラオケを聞いたりする。リズムをはずしながら上機嫌で歌うおじさんを見るのも、俺の夏の風物詩だった。すべてが懐かしい、夏の思い出。
今、俺の生まれたところは過疎化が急激に進んでいる。俺も例外ではないが、若者がすっかり少なくなった。聞くところによると、夏祭りも昔ほどの活気は全然ないそうだ。伝統を守っていくためにも、来年の夏祭りには帰るのも悪くない。