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2005年09月19日(月) ■ |
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Vol.608 お遍路さんになって |
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おはようございます。りょうちんです。
大学4年の冬、就職を目前に控え卒業旅行と称して俺が友人たちと訪れたのは、オーストラリアだった。俺にとっては初の海外旅行だったし、異国文化を経験できたり日本語が通じない非日常を過ごせたりで、今になってみればすべてがとても楽しかった思い出なのだが。友人のひとりが持ちかけてくれたこの企画に、最初俺は全然乗り気じゃなかった。今でこそ海外旅行も楽しいものだとココロから思えるけれど、当時の俺は日本国内にも行ったことがない場所がたくさんあるのに、海外なんてもってのほかだという固定観念にとらわれていた。 胸の奥で密かに企んでいた俺だけの卒業旅行は、四国八十八ヶ所霊場巡り。別に悟りを開きたかったわけでも宗教に目覚めたわけでもなかったのだけれど、1200kmもの長い道のりを2ヶ月かけて歩きながら、これからはじまる新しい世界に向けて俺は自分自身を改めて見つめてみたいと思ったのだ。結局、どうしてもはずせないアルバイトや大学の卒業式とかもあって日程的にも厳しかったり、貧乏学生の俺が長期の旅費を工面することもなかなか難しかったりで、友人から誘われたオーストラリアに行くことにしちゃったんだけれど。その時から、四国霊場巡りはいつの日か実現したい夢へと変わった。 そして俺は社会人になり、もうずいぶんたった。しかし今になってわかったのは、四国霊場巡りができるほどの時間が今の俺にはないということである。健脚な人でも40日はかかると言われるが、3連休を取ることさえままならない今の俺が、どうして40日間も休めよう。何度かに分けて霊場を巡る方法もあるのだが、せっかくやるならここは一気にすべてを回りたいと思うのだ。しかも早いうちに夢を実現させないと、年を取ってからだと体力的にも厳しくなってきてしまう。 もしも。今の俺に40日以上もの自由な時間が確保できたとしたら。すぐにでも四国へ向かってしまうかもしれない。いつかはお遍路さんになって四国を制覇することが、俺の捨てきれない遥かな夢のひとつなのだ。
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