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2006年01月21日(土) ■ |
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Vol.631 カンなんてはずれてしまえ |
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おはようございます。りょうちんです。
ひとつの目標を達成し終えた俺らは、もはや有頂天だった。達成感と満足感を胸いっぱいに充満させて、大はしゃぎで笑っていた。でも、いつも冷静な彼だけは違っていた。新たな目標をすでに定め、次はどうすべきかを考え動き始めていた。それは、彼の決めた新しい目標の入り口となる扉に辿り着くまで、俺らとは会わないと決めたこと。自分自身に厳しい試練を与えた、彼の決心だった。 俺は寂しかった。同じ目標をめざしてそれを一緒に達成した仲間なのに。困難を乗り越えて喜びを分かち合った友達なのに。当分の間は彼と会えないなんて。だが彼の決意は強く、それまでバカみたいに浮かれていた俺も涙をこらえ彼の旅立ちを応援することにした。彼の、「いつか必ず戻ってきます!」というコトバを信じて。 次の一歩を進み出した彼に刺激されて、俺も負けてられないと思うようになった。うかうかしてたら、俺が負けてしまうと焦るようになった。そしていつかはわからないが、再会した時は俺も胸を張っていられるようがんばろうと思った。でも、彼にエールを送り再会の約束をした時、こんなことが頭をかすめたのも事実なのだ。 人は、時とともに変わっていくもの。彼も、俺も。だから、こんなふうに同じように笑い合える日がまた来るとは限らない。彼との約束は絶対に守りたいけれど、時間や目に見えないチカラがきっとそれを不可能にしてしまうだろう。俺がいくら待っても彼は戻ってこないかもしれないし、彼が戻ってきても俺が待っていないかもしれない。仮に約束通りお互いが再会できたとしても、こんなふうに笑い合うことはできないような気がする。確信できる理由なんてまったくないのだけれど、直感的に俺はそんなことを思ってしまったのだ。 あの約束を交わした夏の日から、もうすぐ半年がたつ。あの日以来、俺は彼とはまだ会っていない。俺の頭に浮かんだ根拠のないカンなんてはずれてしまえと、今は強く祈るばかりなのだが。早く彼に会いたい。あの日のように、大切な友達としてお互い笑い合える再会ができる時を、今でも俺はずっと信じて待っている。
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