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2006年09月20日(水) ■ |
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Vol.662 道を尋ねられる |
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おはようございます。りょうちんです。
まだ夏がはじまる前のこと。仕事の途中、店の前で若い女の人に声をかけられた。「すみません、○○というパスタ屋さんってどこにあるかわかりますか?」。そのパスタ屋さん、おしゃれな店構えでリーズナブルなランチがとてもおいしいと評判の、このあたりではちょっと有名な店なのだ。 だが、背後からかけられた彼女の質問があまりにも突然すぎて、俺は適切な受け答えができなかった。「あ、あっちです…」、そう言って指さすのが精一杯。彼女は俺のしどろもどろの応対にも律儀に礼を言って、足早に歩いていった。しかし俺は彼女のうしろ姿をぼんやりと眺めつつ、次第に後悔と不安の念にかられていく。あぁ、どうしてもっと丁寧に教えてあげられなかったんだろう。とっさの質問とはいえ、なんでもっと上手く説明できなかったかなぁ。「あっちです」だけの答えで、彼女はちゃんと辿り着けたんだろうか。今なら、「通りをまっすぐ行って信号を越えると左側にあります。5分もかかりませんよ!」と的確に案内できるのに。 誰かに道を尋ねられるなんて、そうしょっちゅうあることではない。しかもそういう時はいつだって突然で、ココロの準備なんてできてないのが普通だ。だけど、いくらとっさの出来事でも、頭の中ではわかっていることを即座に上手く説明するチカラがないと、何の役にも立たない。英単語は知っているのに、それを文章にしようとした時に文法の方がごちゃごちゃになって、いきなりちゃんとした英会話ができないのとどこか似ている気がする。道案内の練習なんてする必要はないけど、とっさの時に上手く説明するチカラを身につけておく必要はあるんじゃないか。その日以来、そんなことを俺はココロの片隅に留めておくようになった。 先日、信号待ちをしていると初老の女性に道を尋ねられた。「市役所はどちらですか?」。「この道をまっすぐ行って2つ目の信号を右に曲がってください。そうすると左側に市役所が見えてきます。10分くらいで行けますよ!」。完璧だった。あの日の出来事のおかげで、上手く道案内ができた自分がとてもうれしかった。
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