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2006年12月15日(金) ■ |
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Vol.677 サヨナラまでのカウントダウン |
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おはようございます。りょうちんです。
相方には、都内でひとり暮らしをしている91歳になる祖母がいる。だがそんな歳にはとても思えないほど元気で、バスツアーに参加したり地下鉄に乗ってお芝居を見に行ったりかなりアクティブに過ごされているようだ。俺もお会いしたことがあるが、おみやげのプリンをおいしそうに食べながら野球の話で大いに盛りあがった。 秋のある日、彼女は決心する。それまで60年以上も住んできた都内の家を離れ、伊豆にある高齢者専用のケアセンターへと身を移すことを決めたのだ。相方にとってそのニュースはかなり衝撃的だったようで、その知らせを聞いた日から、わがまま言って取りやめてもらおうかと本気で考えていた。身寄りがないわけでもないし、今の生活が不自由なわけでもない。元は旅館で窓から富士山の眺めがとてもいい施設だといっても、わざわざ高いお金を払って遠い伊豆なんぞになぜ行く必要があるのか。相方はそんな疑問をやっとの思いでぶつけたのだが、彼女は「元気なうちに入っとかないと入れてもらえなくなっちゃうからね…」と答えるだけだった。しかし本当の気持ちは最後までよくわからなかったらしく、引っ越す直前まで荷造りをためらっていたみたいだったと相方は言っていた。相方はせめてもと彼女にケータイ電話をプレゼントして、そして彼女は伊豆へと旅立っていった。 その夜、相方は声をあげて泣いた。祖母が伊豆に行ったのは自分のせいだと攻めた。相方が都内に住んでいた頃は祖母の家がすぐそばにあってしょっちゅう顔を出せていたのに、俺と一緒に千葉に住むようになってからなかなか足を運ばなくなったのが原因だと思ったのだろう。まして彼女が喜んで伊豆に向かったのならともかく、真相はわからないままだ。相方が自分を攻めるのは、痛いほどよくわかる。 すべてのものにタイムリミットがあって、いつだってサヨナラまでのカウントダウンをしながら生きている。そんな当たり前なこと、すぐに忘れちゃうけれど。今回は彼女がそれを教えてくれた。相方は渡したケータイへ、今は時々電話やメールをしているようだ。大丈夫、また会いに行けばいい。今度は伊豆まで遊びに行こう。
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