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2007年02月03日(土) ■ |
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Vol.684 見えない壁 |
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おはようございます。りょうちんです。
念願の万里の長城は、北京市街から最も近い八達嶺に挑んだ俺ら。北八楼を過ぎるとさらに急勾配のアップダウンが続き、手すりもなく部分的に凍っている急坂はもはや登山だった。途中まで混雑していた観光客も極端に減り、そんな中で俺らはいつのまにか抜き抜かれする彼女たちと仲良くなった。最初に声をかけてきたのは彼女たち。聞き慣れない会話をする異国人に興味を持ったのか、「Korean?」という質問に俺は「No,I'm from Japan!」と答え、それからはすれ違うたびにお互い簡単な英語で話すようになった。「Are you tired?」とか「It's so great!」とか中学生レベルの英語だったが、中国人の彼女たちと日本人の俺らをつなぐコミュニケーションはそれで十分だった。ひと足先に北十二楼に着いた俺らは、彼女たちを待って小雪舞う中4人で写真を撮りまくる。それぞれが違う公用語を話すにも関わらず、英語で通じ合えた俺らと彼女たちの間に、見えない壁は存在しなかった。 琉璃廠から大柵欄へ抜ける途中で胡同に入りこんだ俺らは、偶然にもそこでニーハオトイレを発見した。市街地では見つけるのが困難との情報だったが、観光客が入ってこない胡同には、昔ながらのものもまだ結構残ってるようだ。レンガ造りの建物の中は、手前が小さい方用、奥が大きい方用。もちろん仕切りの壁や扉はなく、穴だけが4ヵ所あいている。先客は2名いたが、彼らにまじってさっそく俺も挑戦してみた。だがやってみると、開放的過ぎて安心して用が足せるかという当初の心配はどこへやら、とても快適にコトを成し終えた。なぜならそこには、見えない壁があったから。ほんの数十センチ横には尻を出した見ず知らずの人がいるのだが、それをわざわざ見てやろうと考える人なんているわけもなく、仮に目が合ったとしても「ニーハオ!」なんて声をかける空気ではないのだ。用を足している最中の各個人は座禅を組む僧のごとく無の境地に入り、ひとりの世界に閉じこもるものだ。拍子抜けするくらい普通に体験したニーハオトイレに、見えない壁は存在した。 飛行機に乗れば4時間で行ける北京。想像以上に楽しくステキな場所だった。国境という見えない壁を越えて、いつかまた絶対に北京を訪れたい。
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