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りょうちんのひとりごと
りょうちん
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2007年03月03日(土)
Vol.687 突然の訃報

おはようございます。りょうちんです。

パートのTさんが亡くなられてから、もうじき2ヶ月がたつ。たまたま休日だったあの日、俺は本屋で立ち読みをしていた。ふいに鳴り出したケータイは店からで、電話に出ると深刻そうな声でMさんが話し出した。「先ほどTさんのお宅から電話があって、Tさんが今朝亡くなられたそうです…」。最初、俺は状況がよく飲みこめなかった。Tさんの身内の誰かに不幸が遭って、葬儀やら何やらでTさんが数日間出勤できなくなるんだと勘違いした。のんきに構えていた俺は、「で、誰が亡くなったの? 旦那さん?」なんて聞き返したのだが、「いや、亡くなったのはTさんですよ。だからもうお仕事には行けませんって…」という答えに、次のコトバを失った。
そんなはずはない。そんなのウソだ。だって3日前にはいつもと変わらない元気なTさんと一緒に、俺は仕事をしたのだから。今年もよろしくお願いしますなんて律儀に頭を下げて、新年のあいさつもしたばかりなのだから。年末年始も三が日しか休まず、働き者のTさんだったのだから。以前はひどかった肩こりも最近はずいぶん楽になって、ここんとこ調子がいいと喜んでいたのだから。亡くなったなんて、全部ウソに決まってる。
しかしコトバをなくしたままの俺に構うことなく、電話越しのMさんは事実だけを話し続けた。どうやらお風呂に入っていて突然倒れてしまったらしい。2世帯住宅で隣に住む息子さんが気づくのが遅れ、病院に駆けつけた時にはすでに遅く、そのまま帰らぬ人となってしまったんだそうだ。元気だった人が突然亡くなるという話は、よく耳にする。だけどそれが自分のすぐそばで起こると、信じられないという気持ちが先に立って動揺を隠し切れない。
突然の訃報を聞いたあの日からも時間は止まることなくただ淡々と流れて、彼女がいない現実も今じゃ少しずつ普通だと感じてしまえるほどになった。でも時々俺はTさんを思い出す。「おつかれさま!」と言って帰っていった、最期の笑顔を。