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2008年06月26日(木) ■ |
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Vol.722 ザリガニ釣りに熱中する |
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おはようございます。りょうちんです。
実家に帰り、父と一緒に犬の散歩に出かけた。いくつか散歩のコースがあるが、今回はたけんさ山の方へ。たけんさ山と呼ばれる雑木林の中を細い小道が通り、やがて坂を下って林を抜けたところに小さな池がある。いつもはその池を気にもせず通り過ぎてしまうのだが、ふと水面をのぞき込むとなにやら動くものが見えた。 ザリガニだ。それも1匹や2匹ではない。大量のザリガニがあちこちでちょこちょこ動いている。俺は急いで水辺まで駆け寄りそばに落ちていた枯れ枝で水面に波を作ると、それまで平和に暮らしていたザリガニたちがあわてて濁り出した泥の中に姿を隠した。この池は、ザリガニの穴場だ。家に帰って弟にこの話をすると、弟も目を輝かせて興味を示した。 考えてみたら、ちびっこの頃はこんな小さな冒険が人生のすべてだった。この道はどこに続いているかとか、この林の向こうには何があるかとか、この川はどこまで流れていくんだろうとか、そんな想像をいつも胸に秘めていた。そしてそれをすでに確かめて知っている上級生がカッコよく見えた。クワガタがいっぱい採れる栗林や、ワラビがあちこちに生えている草むらや、サワガニがたくさんいる小川をどれだけ知っているかが俺らのステータスだったし、自分の足でそれらの穴場を探し出すことに命を賭けていた。こんな冒険をしながら俺らは毎日を過ごしていたのだ。 数日後、犬の散歩という口実で、さっそく弟を引き連れて例の池までやってきた。用意したのは糸とスルメ。昔と同じように、拾った枝の先にスルメをくくりつけた糸を結んで即席の釣り竿のできあがり。スルメを水面に落とすと、わずか5秒でザリガニが釣り上がった。弟とどちらが大きなザリガニが釣れるか競い合う。やっていることは30年前と何も変わりなく、それがなんだかおかしかった。昔はバケツいっぱいのザリガニを採って、家に持って帰って飼ったり食べたりしたのだが、今回は全部逃がしてやることに。年がいもなく、時間を忘れて俺らはザリガニ釣りに熱中する。坂の上では、とうに散歩の終わった父と犬がずっとこっちを眺めていた。
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