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2009年01月03日(土) ■ |
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Vol.735 炊飯器を買いに |
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おはようございます。りょうちんです。
少し前から、実家の炊飯器の調子が良くない。保温機能が上手く働かないことがあるようで、時々だましだまし使っている。弟も帰ってきたことだし、この際ひとまわり大きいサイズの炊飯器に買い換えたい。そんな話を母から聞いた。それなら俺がお金を出す。俺が実家に帰った時もそれで炊いたおいしいごはんが食べられるなら、喜んで俺が買う。そう言って俺はパンフレットを集めて母に渡し、年が明けたら一緒に買いに行くからどんなのが良いかよく調べておいて、と約束した。 だが、駅伝が終わるとすぐに向かった家電売り場で、今年初めての親子ゲンカをしてしまった。優柔不断な母に、俺がしびれを切らしたのだ。炊飯器と言ってもいろいろある。機械音痴の母は、あまりの種類の多さに目移りしてしまったのだろう。俺が渡したパンフレットじゃよくわからなかったと言う母は店員を呼びつけて、勧められるがままに手に取り眺めている。そんな高機能過ぎても使いこなせないと俺が横から何度口出ししても、母はあっちを見たりこっちを見たりなかなか決められない。そして母と俺の押し問答がしばらく続いた末。ついに母は、「そんなにお前がとやかく言うならもういらない。今のだってまだ十分使えるんだから!」と、少女のように瞳に涙をいっぱい浮かべて俺に言い放ち、出口へと向かってしまった。 結局何も買わず店を出た俺らは、そのまま帰路についた。炊飯器を使うのは母なのに、なぜ母の好きなものを素直に選ばせなかったのだろう。なぜ俺はもう少し黙っていられなかったのだろう。母も自分のためじゃなく、家族のためによりおいしいごはんを炊いてあげたいと考えていたはずだ。何よりも、俺は母に気持ち良く買い物をしてもらいたいと思っていたのに。母の喜ぶ顔が見たかっただけなのに。確かに俺、ちょっと言い過ぎた。そう思ってもすでにあとの祭りで、いつもより口数の少ない車の中でも、母に似て強情な俺は謝ることもできないまま家に着いた。 弟の彼女も来て6人の大所帯になった我が家の夕食は、案の定ごはんが足りなくなった。ほとぼりが冷めた頃、また母を連れて炊飯器を買いに行かなくちゃな。
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