猫の足跡
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2002年06月06日(木) (W杯)二枚舌は使っちゃだめ

 ワールドカップ・チケット問題。正しい解決方法は、「余ったチケットはちゃんと売る」→「ネット販売ではさばききれないのだから、電話か直接販売」以外にはないのですが、利権とメンツにこだわるFIFAとの綱引きが続いています。

 で、韓国組織委員会KOWOCは、ちゃんと交渉ができたのでしょう。ほとんどのチケットをFIFAからGETして、直接販売に踏み切りました。
 一方、日本組織委員会JAWOCは、半々(FIFA=バイロム=ネット販売VS JAWOC=電話販売)で手打ちにしました。

 (自国戦以外の)チケットへの需要が高いのは韓国よりも日本なのに、JAWOCの弱腰がうかがわれます。
 今朝、以下の声明を読んで、頭が痛くなってしまいました。

JAWOCホームページ(5日深夜)*******************************

FIFA/JAWOC/バイロム合同のチケット対策が2002FIFAワールドカップのチケッティング状況を著しく改善

FIFA、JAWOCおよびFIFAワールドカップ・チケッティングビュロー(WCTB=FIFAのために、バイロム社が運営)が6月3日、東京での会議で合意した対策によって、日本国内試合のチケットの販売状況が著しく改善された。特に、電話と公式チケッティング・ウエッブサイトを通して行われた、日本での3試合の残っていたチケット販売は特に改善された。

ファンの利益のために、これらの3つの試合の在庫は電話とインターネットによる販売に分けられた。チケットが遅い段階で入手可能になったのは、各国協会(複数)が協会に配分されたチケットをショートノティスで手放したため、チケットが返還され、さらにいくつかのロジスティクス上の問題が重なったためであるが、このロジスティクスの問題は解決された。

6月5日神戸で行われる、マッチ15のロシア対チュニジアの試合の電話による3000枚のチケット販売は一時間半で、売り切られ、茨城で行われるマッチ17のドイツ対アイルランドの900枚のチケットは15分間で売り切れた。埼玉のマッチ19カメルーン対サウジアラビアの試合のチケット2400枚は同様に非常に早く売り切れると予想される。

FIFAワールドカップの公式のチケッティング・ウエッブサイトであるwww.fifatickets.comを通した販売も完了した。ロシア対チュニジア戦では599枚が、ドイツ対アイルランド戦では969枚が、カメルーン対サウジアラビア戦では1、824枚がインターネットを通してファンの手に渡った。

過去数日間経験されたサイトへのアクセス問題は、サイトへのログオンに到達したユーザーが、販売に付されたチケットをもとめて、その選択する試合を求めて長い間、オンラインを続けたという事実によるもので、そのため、ユーザーのアクセスが混み合った。こうした理由からいまでは、ユーザーは自動的に15分間後にはサイトからログオフされるようになっている。

FIFAとJAWOC、バイロムは、そのチケッティング状況について点検するためのデーリー(毎日)の検討会のなかで、本日、6月5日、東京で電話とインターネットを使った販売活動を継続することに合意した。
会議では、日本と韓国の状況が異なっており、違ったアプローチが必要であることを考慮して、そのために、KOWOCとも別の会合が持たれることとなった。別々のメディア向けリリースが、適切な機会に出される。
日本での残されたファーストラウンドの試合については、未販売のチケット在庫のうち、電話50%、インターネット50%の割合で、下記の会場毎に、それぞれのチャンネルで販売が行われる。

セカンドラウンド以降の試合については、TST(チーム・スペシフィック・チケット)やVST(ベニュー・スペシフィック・チケット)の、大会の後半に勝ち上がるチームに関係した一連の先行予約販売があるため、違った対策が適用されることになる。

FIFAチケッティング・サブコミティのホルスト・R・シュミット委員はこう語っている。: 「FIFAとバイロム、そして日本の組織委員会はセキュリティの確保やその他の措置を尊重しながらも、ファンのニーズに応えるための解決を見出すことができた。インターネットとチケットの在庫分のダイナミックな管理は重要な役割であり、特に、セカンドラウンド以降の段階で極めて重要である。」 「われわれはKOWOCとの間でも、同様の成功できるアプローチを見つけることができる自信がある」」とシュミット委員は付け加えている。

JAWOCの小倉純二トーナメント・ディレクターは「ファーストラウンドの日本での残りの試合のチケット販売について、日本のファンが電話でも、インターネットでもチケットを購入できるよう、解決がはかられたことは、JAWOCとしても喜んでいる。私はこれで、スタジアムを満杯にできるようになると信じている」と述べて、この合意に同意を示した。

FIFAコミュニケーション部 2002年6月5日東京
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 ごりゃああ、なんだこれは!!というドヘタ直訳の日本語だし、FIFAの認識は「ちゃんと売れたし、実害無いんだから大したことないじゃん、ノープロブレム!我々は適切なアプローチで顧客満足を実現したぜベイビー!」だし、「JAWOCは、“解決がはかられたことは、JAWOCとしても喜んでいる”と同意を示した」とちゃっかり「JAWOCもOKっていってるんだし、俺達責任ないもんね!」と言わんばかり。毛唐の自己正当化はこれだから…。というのはともかく、

 これでいいんか?JAWOC!!!!?

 と思っていたら、こんなニュースが配信されてきて…。

毎日新聞配信ニュース(6日14時11分)************************
<W杯チケット>空席問題で「極めて不愉快な事態」JAWOC

 サッカーワールドカップ(W杯)のチケット・空席問題で、日本組織委員会(JAWOC)の小倉純二トーナメントディレクターは6日、JAWOC本部で報道機関との懇談に応じ、空席が大量に出ている現状について「極めて不愉快な事態」と語った。
 小倉氏は、電話販売も行ったため売り残りがないはずなのに、約7000の空席が出た5日の神戸での試合について「なぜなのか分からない。原因を調べたい」と話し、約2000の空席が出た同日の茨城の試合については「改善されてきた結果とみている」との認識をしめした。
 また、8日以降の試合について新たに電話とネット販売が決定されたことについて「合計で3万9600席もあったのは、驚くべき数字だ。これをファンの皆さんに渡すために努力する。ネットにつながりにくい状態については改善を要求し、増強されたと聞いている。アクセスしやすくなることを期待している」と話した

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 あのさー、小倉君。
 クレーム(主張)は、きちんと交渉の当事者に伝えなきゃ駄目なんだよ。
 当事者ではない他の人に、「自分は(本当は)相手のやっていることはひどいと思ってる」っていくら言っても、交渉の相手に「わかりました、一緒にがんばって改善しましょう!」とか口先だけのおいしいこと言っちゃ、相手は「そうか、自分の主張を理解してくれたのか」となっちゃうでしょ?そういうのを「二枚舌」っていうんだよ。
 ちゃんと、「責任の所在がどこにあるのか明らかにする(この混乱は、FIFAとバイロムの責任だとちゃんと伝える)」「打開策を提示する(日本側に残ったチケットを全部よこせ)」ということをしないで、事務局の仕事も何もあったもんじゃないでしょう。

 って…。新入社員の坊主じゃないんだからさ。もうちょっと世界の常識にのっとって交渉事は進めてこいってんだ!

 中国領事館の例の亡命者駆け込み事件などもそうですが、日本人のリップサービスには、ホント困ります。

 さて、私はもう一試合くらいチケットゲットしたいと思うのですが、果たして可能でしょうか。


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