ファンタジーというと、魔法で何でも解決!とか扉を開けるとそこは不思議の国!とかいったイメージがとっても強かった(そういうイメージのファンタジーを嫌っているわけではなく、むしろ好き)のですが、この小説は全然違う。中国の歴史小説のようでした。 ファンタジーノベル大賞をとっているのだからファンタジーだってことはわかっていたのですが、読み進んでなお史実を小説化しているとしか思えませんでした。つまり、それだけ設定がしっかりしていて、話が巧いってことですよね。 内容はなんだかとてもアンナコトやコンナコトだらけなのですが、それ以上に話の語り口がおもしろい。
「すべての真理はどこから生まれてくると思うかね」(略) 「それは子宮さ」(略) 「女の腹からすべての真理は生まれるのだ。それが、答えだ」
酒見賢一:後宮小説,p.138,新潮社.
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