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■ リトル・スパイス
7時半過ぎに帰れたので、チェロを弾いた。 いつもながら自分でも呆れるほど、へたっぴ。
それでもお声をかけてもらった市民オケの本番にも参加しようかと考え てるんだから、マジメに音楽している世のチェリストさんたちに向ける顔もない。 ほんと、へたですんません。
でも私がここまでこの楽器と共に生活してこられたのは、 ほんのささいなきっかけからだ。
チェロを始めて一年経とうとした頃、本気でもう辞めようと思った。 ピアノで言うなら蓋を閉める時だと思った。もう、弾くのはやめよう、と。 どれだけ練習しても、私は音符を読むのが遅いし、リズムだってちぐはぐしていた。 こんなの苦しいだけじゃない。楽器にも申しわけない、 こんな私に弾かれたんじゃ申し訳ない、と思った。
そんなとき、あるバイオリン弾きの先輩が言ってくれた。 「オレさぁ、おまえのチェロの音、好きだよ。音程もリズムもひっどいけれど、 音はいい。すげえいいよ」涙が出そうになった。プロ並みのバイオリンを 弾く人で、雲泥の差とはまさに彼と私の差のことだった。 彼は雲の上で光を浴びる人、私は泥の中でゲコゲコ鳴くカエルみたいなもんだ。 そんな人から言われたひとこと「音、いいよ」は私にとっての救いとなった。
それで今まで続いているんだから、言葉の魔力ってすごい。 まさに人生のリトル・スパイスなり。
2001年06月05日(火)
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