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■ 根性のムスメ
学生時代、長くバイトしていた先の同僚たちと会った。
いくつか音楽ホールを転々と経験して、最後に辿り着いたのは芸能を 中心とした催し物をする劇場だった。昭和期にタイムスリップしたような 建物の1Fにある受付で、夕方の6時から夜の11時まで働いた。
働くといっても、職員に(みんなシニア層だった)お茶を出したり、 たまにチケットを発券するだけで、あとはずっと本を読んでいた。 ラジオからは寄席や人生相談などの番組が小さな音で流れていて、 いつも時間が止まっているような空間だった。 私はわりとそこが好きで、結局3年半くらい働いた。
当時、契約社員で働いていた一歳年下のアヤちゃんは、専門学校を卒業して すぐにその劇場に勤務した。とてもよく気が利く子で、仕事もきっちりやり、 力仕事なんかもテキパキこなした。ただ、社員がその子だけで、あとはゲート ボールなんかが似合いそうなおじさんばかりだったので、彼女にはバイトの 女の子たち以外には「同僚」と呼ばれる仲間がいなかった。バイトの子だって、 アヤちゃんと入れ替わりの時刻で勤務に入るので、実質彼女は昼間ひとりで あの昭和時代の空間に身を置いていた。ちょっと苔がむしてきそうな空間だった。
それが、この春から川口に勤務になったという。 彼女が住む八王子から約2時間かけて(朝5時半に起きて!)通っているという。 「どうしてそんなことになったの?」と聞くと、「だって、社長が"君はあの場所 で埋没していくのかね"なんてふざけたことを言ったんですよー。それなら"おう、 どこへでも行ってやろうじゃん"てね。」と真剣に(かなり声を荒げて)話してくれた。
「だから片道2時間かけても、やってやろうじゃん、とタンカを切っただけに がんばれるんです」と言う。すごい。それってすごい根性じゃないのかぇ!? と私は心の底から感心してしまう。
朝が苦手で、長時間電車に乗るのが耐えられない、だらしない性格の私には とうていマネできない。こんな根性のある、肝の据わった若いお嬢さんて 少なくなってますよね。だから妙に嬉しかったな。
2001年07月20日(金)
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