月のシズク
mamico



 Energetic Music

またオンガクの話です。興味のないひとは読み飛ばしてください。

池袋の芸術劇場で佐渡裕指揮、PMFオーケストラの本番を聴いてきました。
聴く前から、チケットを取ってくれたトモダチに何度も
「めちゃめちゃすごいブラ1が聴けるかも」と洗脳されていたのですが、
実際に聴いた感想は「やばかった」です。やばいくらい感動的な演奏。
素晴らしい演奏の後には、ボキャ貧になってしまう私ですが、
ほんと、やばかった。

佐渡さんはフランスで今もっともホットな指揮者で、バーンスタインや
小沢征爾らに師事していた。テレビの特集でも何度かとりあげられていたので、
ご存知の方も多いかもしれない。とにかく熱い男で、それはそれは
ダイナミックかつ繊細な指揮をなさる。

PMFオーケストラとは、世界各国から厳しいオーディションで選ばれた、
次世代を担う若手音楽家によって構成されている。毎年編成が変わり、
夏季限定の若いオーケストラ(ほとんどが10代、20代)なのである。

遠目からも肌はぴちぴちしているし、眼の輝きに光が入っている。
ああ、これが若さなのかと思い知らされる。普段は座らないバルコニー席
(ステージ横上方の一列)から舞台をみると、演奏家たちの表情や佐渡さんの
指揮する指先、オーケストラ全体から発せられるうねりのような呼吸が体感
できる。こりゃすごい。そんなオーケストラが奏でるブラームスの交響曲
第一番は、音の深さ厚さ響きが立体になって迫ってきた。
それになんといっても、若さからこぼれ落ちる飛沫のような情熱。

少し前に、某有名国立大学のブラームスを聴いたが、あれは老いた若者の
演奏だった。ラジオ体操のような指揮と、熱のカケラも感じられない演奏。
なのに客席は超満員。拍手する気にもなれず、そそくさと退席した。
つまらなく平面的なブラームスだった。

もちろん成熟、熟成した音楽も世の中にはたくさんある。
でも若いうちから変に熟した音楽は、逆につまらなく感じることもある。
あの全身から発せられる強いエネルギーや、まっすぐな音は
やはり若さの専売特許だと思うのだ。

こんな音楽を聴くと、ますますブラームスを愛してしまいそうだ。




2001年08月01日(水)
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