月のシズク
mamico



 初秋の午後

午後にいつもの診療所へ行って診察してもらう。
「風邪ですね。漢方薬も処方しておきますよ」といつものお医者さまが言う。
はぁ、いつもいつもすみません、と私はぺこりと頭を下げる
(ずきゅんとこめかみが痛む)。

帰り道、東急裏のスターバックスでバニラシロップ入りの甘いラテをすする。
テラスは午後のゆるいひだまりに包まれ、うすくオレンジ色に色付いていた。
私は夏休みの最終日を迎えた子供のように、ちょっと倦んだ身体を持てあます。
通りの向こう側にある、ブティックのガラスに映る自分の顔に気付いて、
眼を背けたくなった。ついさっき墓場から掘り起こされたばかりの死体みたいな顔。
無表情、無感情、無気力さが漂っている。

いかんいかん、夏休みはもう終わったのだ。
一年中で私がいちばん苦手とする時期、夏の終わり。
早く秋が来ればいい、と思った。




2001年09月06日(木)
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