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■ いくつかのライフ・スタイル
貧乏性なのか、心配性なのか、非安定志向なのか、 子供の頃から「ひとつのことに執着する」のが苦手だった。
不注意や衝動性は多少見受けられるものの、最近問題視されている 注意欠陥・多動性障害の類ではないと思う。だいいち私はひとの話しを ちゃんと最後まで聞くし、課題や活動を順序立てて行うことができたから。
それでも、最後のひとつを決めるのがどうしてもできないのだ。 イチゴのショートケーキとモンブランを最後まで決めかねてしまうように、 最後の審判を下すことができない。だから常に二足のワラジを履いてきたし、 今でもその傾向は続いている。結局のところ、複数の生活を持って自分を 安定させているのかもしれない。疲弊しやすく我慢弱く精神的なバランスも 良い方ではないけれど、こんな生活も悪いことばかりじゃなかった。 人に教えられなくても物事の両面性を感じられる体質になっていたし、 ダブル・ミーニングや二項対立にすんなりと共感できた。
偉そうに聞こえていたらごめんなさい。 ただ私は「あらゆる事象の可能性を見てみたい」という願いのもとに生きてきた。 世界を「そういうものだ」となかば諦め気味に俯瞰するのではなく、 きちんと向き合って自分の頭で考えてみたかったのだ。
この秋から研究室に戻ってきた。 でも好きになった仕事も続けている。 そして音楽も再開した。
何かを選択する上で失うことも多いけれど、私は自分が選んできた いくつかの可能性を大切にしたい。たとえすべてが不毛に終わったとしても、 通過してきた時間と体験と空間は、私の中の記憶となって、 生きている限り「私」という人間を生かし続けるはずだから。
2001年10月02日(火)
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