 |
 |
■■■
■■
■ 沈黙する電話
メールが世の中に浸透してきて、もはや日常となってしまった。 電話線を媒体とするコミュニケーションツールの「電話」本体が影をひそめ始めた。 モジュラジャックを引っこ抜き、パソコンに接続する。 プルルルという電話の呼び出し音の代わりに、軽快な新着メールの受信音が鳴る。
ここしばらく、この部屋の電話音を聴いていない。 携帯電話もバイブ機能しか使っていないので、いくつ和音が出ようとも、 その音を聴いたためしがない。そして、受話器に向かって喋ったのは、 もうどれくらい前のことになるのだろう。
私は声帯を震わせて声を出す代わりに、じゅっぽんの指で言葉を綴る。 当意即妙に受け答えするのが苦手なので、チャットはほとんどしない。 電話と違ってメールは一方通行の繰り返しだ。電話より長い時差を要する。 それに、感情を文字にすると自然と冷静になれる。書き言葉は「文字」 を仲介役にするので、喋り言葉にはない「距離感」が生まれる。
それにしても、この部屋に電話がある意味はあるのだろうか。 (For the Emergency Call?) 石のように口を閉ざしたこの電話、少しは心愉しい話でもしてくれないかしら。
2001年10月16日(火)
|
|
 |