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■ ターン
不器用だな、と思う。 おもわず自分で苦笑してしまう。 ほんと、扱いにくい。すべてわたしの一部のはずなのに。>ヲイ工場長!
とりあえず、という言葉がこの場合に適切かどうかわからないが、 とりあえず、泳いだ。真昼のプールで、ばしゃばしゃと、泳いだ。
何度もターンをくり返し、手で水を掻き、足で水を蹴る。 何度もターンをくり返すと、どんどん腕がだるくなる。 足も、水を蹴っているのか、泡立てているのかわからなくなる。 呼吸はどんどん乱れて、不注意にも何度か水を飲んでしまった。
肉体を酷使したなら、少しは思考が停止するかと思ったが、ぜんっぜんダメ。 意識はずっとトレース作業を継続している。たぶん、眠っているときも。
こうなったら、とカルキくさい水を吐き出しながら、思う。 こうなったら、腹もアタマも括って、とことんトレースしてやろうじゃないか。 まったく不便な身体だ。思考し、言語化するまでは私をムチ打つ。 迷走したなら、行き止まりを見るまで走り続ける。 最後まで見届けなければ納得できないタチらしい。
忘れろだって? 冗談じゃない アンタのアタマこそ確かかい?
2002年03月02日(土)
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