月のシズク
mamico



 ターン

不器用だな、と思う。
おもわず自分で苦笑してしまう。
ほんと、扱いにくい。すべてわたしの一部のはずなのに。>ヲイ工場長!

とりあえず、という言葉がこの場合に適切かどうかわからないが、
とりあえず、泳いだ。真昼のプールで、ばしゃばしゃと、泳いだ。

何度もターンをくり返し、手で水を掻き、足で水を蹴る。
何度もターンをくり返すと、どんどん腕がだるくなる。
足も、水を蹴っているのか、泡立てているのかわからなくなる。
呼吸はどんどん乱れて、不注意にも何度か水を飲んでしまった。

肉体を酷使したなら、少しは思考が停止するかと思ったが、ぜんっぜんダメ。
意識はずっとトレース作業を継続している。たぶん、眠っているときも。

こうなったら、とカルキくさい水を吐き出しながら、思う。
こうなったら、腹もアタマも括って、とことんトレースしてやろうじゃないか。
まったく不便な身体だ。思考し、言語化するまでは私をムチ打つ。
迷走したなら、行き止まりを見るまで走り続ける。
最後まで見届けなければ納得できないタチらしい。

忘れろだって?
冗談じゃない
アンタのアタマこそ確かかい?




2002年03月02日(土)
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