 |
 |
■■■
■■
■ 深夜のアイロン掛け
明日の本番、アンサンブルばかりなので、ほとんど発表会のノリ。 チェロ四重奏に出ますの。衣装、どーしましょうかね、とチャット。
男性はスーツに色シャツにしたいらしい。 「オレ、イエロー」 「じゃ僕は、ピンクで」 「わたし、ブルーにしようかなっ」 もひとりの女の子もすかさず声をあげる。それはいいが、残る色ってナニイロ? 「・・・えーっと、あとはグリーンあたりでしょうか?」
はい、それにします、あたくし。 と、打ち合わせはものの数分で終了。 「春だし、パステル系ですねー」と嬉しそうに笑うチーム・メイト。 演奏する曲は季節感とは無関係。無言歌、ガボット、ララバイ、それにマーチ!
金曜の夜、浮かれ騒ぎの明るい街を抜け、深夜の帰宅。 昼間、ランチに出て半分本気で、脱走、いや逃亡しようかと思った。 殺人的スケジュール。そんなもんにコロサレたかないわよ。
部屋に戻り、寝室のクローゼットをがばっと開く。 あった、白地にライムグリーンのストライプが入った、パリパリシャツ。 ・・・え、シナシナじゃん、これ。シワシワともいう。がっくし。
1年ぶり、いや2年ぶりくらいに、埃が膜を張ったアイロンを出す。 製造年月日不明の糊付けスプレー缶をシャコシャコ振って、シュッシュッと吹き付ける。 高熱で水分が蒸気にシュワっと変身。
初夏の草原を思わせる、波打つ海原を三角の舳先が切り裂いてゆく。 荒れ狂う水面はどんどん穏やかに静められてゆく。 右袖、右前衣、左袖、左前衣、背衣、裏襟、前襟、最後に両の袖口。 できたっ、パリパリが自慢の春色シャツ。
ピンク、イエロー、ブルーにグリーン。 ん?ゴレンジャーにはひとり足らぬな。
2002年03月15日(金)
|
|
 |