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■ 「速くせず、できるだけさりげなく」
なんだか、完全にヤられてしまった。 誰に?ナニに?どんなふうに?
マーラーのシンフォニーの、音とリズムに あろうことか、どっぷりと心酔してしまったのだ。
7月の本番のための練習が開始している。 私は何だかんだと理由を付けて、半ば辞退しようとさえ思っていた。 「一度くらい弾いてみるか」と、夕方、チェロをかついで電車に乗る。 記念受験、ならぬ、記念演奏、という実に軽いノリだった。 なのに、まんまと自分に掛けた罠に引っ掛かってしまった、ということです。
交響曲第7番は、プロオケでもあまり演奏されない超マイナー曲である。 5楽章=80分の大曲。譜面を製本したら、とんでもない厚さになった。 おまけに、めちゃくちゃ難しい。
初見の譜ヅラは、記号の羅列にしか見えず、たちまち硬直する。 弾けないところは「ちゃんちゃかちゃーん」だの「るるーる、るーる」と歌い あとは、ただただマーラーの世界に浸る。ちゃぷちゃぷと、浸る。
譜面にはドイツ語やらイタリア語やらで、演奏指示が書かれている。 「速くせず、できるだけさりげなく」というドイツ語があった。 演奏家には「速く弾くな」と窘め、でも観客には「おおっ、はえっ」と思わせろ、 ってか?マーラーさん、なかなかそなたも悪やのう、とにやにやしてしまった。
しっかし、当時のマーラー氏はまさか死後何100年以上も経てから、 日本のアマチュアオーケストラが演奏すると思って作曲してなかろーに。 とーぜん、アタシもソレにヤられるとは思ってませんでした。 ええ、惚れたからにはのりますよ、次回。
2002年04月14日(日)
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