月のシズク
mamico



 「地球があんまり荒れる日には」

まったく、朝から夜までひどい風が吹きすさんでいた。
ごごーうごごーう、どどどっどどどっ、ずずずわっずずずわっ。
強風を描写するには、濁音がよく似合う。

風が強くて、おまけに空気がぬるいと、眼にも耳にも肌にも不穏さを感じる。
電線のヒステリックで禍々しい叫びや、近所の欅並木の波立つような葉の音が、
風にのってすぐ側まで届いてきて、何度もぞわぞわと肌が泡立った。

集中できないのだ。
混線した電話の受話器を、間違って耳に当ててしまった時みたいに。
外界の音が聞こえすぎる、というのも問題なのかもしれない。

「地球があんまり荒れる日には / 僕は火星に呼びかけたくなる」

と、『二十億光年の孤独』で谷川俊太郎さんは書いていたけれど、
まったく同意してしまう。おおい!そっちはどうだぁ、と叫びたい。
夜中のニュースで天気予報士さんが、「明日はもっと風が強くなるでしょう」
と平然顔で言っていた。オーマイガッ!

どうやら明日も地球は荒れ模様らしい。




2002年04月16日(火)
前説 NEW! INDEX MAIL HOME


My追加