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■ 森田版『模倣犯』(ネタバレ)
行ってまいりました、『模倣犯』の試写会。 実は一足お先に観てらしたウチのセンセからネタというネタは全て聞かされていた ので、びっくり仰天!な結果ではなかったのですが、真剣勝負の2時間4分だった。
宮部みゆきの超長編小説とは別の、監督森田芳光版に仕上がっていた。 とにかくスクリーンに映し出される情報量の多さに攪乱させられる。 Yahooも協賛なので、スクリーンに"Yahoo"への書き込みがタイピングされたり、 ワイドショーの画面をスクリーンとテレビに断続的に切り替えたり。 かと思えば、山崎努が登場する豆腐屋のシーンは、古き良き日本の風情たっぷり。 渋谷の街頭大型ビジョン、携帯電話での動画配信、バイク便まで登場する我らの日常。 なるほどな。こうして異化作用されると、この世界も異様なスピードで回転させられ ていることに気付く。ほほぅ。
問題の中居くんは、みなさんが騒ぐほど「美しい」とは感じなかった。 結構すんなり観られるし、これといったカラーも感じさせない。それが狙いか。 たとえて言うなら、『白い影』の直江医師から魂を抜き取ったような表情。 メタルのような肌触りがする。が、逆に声に表情が込められる瞬間がある。 特に、彼がスクリーンから姿を消した後の「声」の部分には惹き付けられた。
同席したウチの教授が、ひっそりと笑い彼女なりの逆筋を話してくれる。 この作品は『オイディプス王』をウラから観たバージョンだった。 犯人(自分)を捜すオイディプスではなく、「僕を見つけてくれ」と登場するピース。 無意識的父親殺しではなく、意識的母親殺人を犯すピース。 両親に遺棄された子ではなく、子をすくい取り託すピース。 だがその根元的な「心の闇」の部分は何も語られていない。 さて、アナタはこの作品から何を読み解くか?
2002年05月27日(月)
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