月のシズク
mamico



 タイミングのいい男

本人は何の狙いもないのかもしれないが、タイミングのいい男がいる。
めちゃくちゃ落ち込んでいるとき、または「ちょっと誰か聞いてー!」という
マシンガントーク・モードのときにふらっと連絡をしてくる奴。
まさに飛んで火に入る夏のムシ。

お昼頃、夕食の約束をしていたトモダチからキャンセルの電話が入る。
ちょっとお外でごはんを食べたい気分だったから気持ちが萎えたのは確かだ。
ま、先方にも仕事なり緊急事態なり女なり、いろいろとあるのだろう。
「また今度」と約束を遠くへ追いやる。

夜になり「何か作りますかね、いや待てよ、吉祥寺へ買い物に行こう」と
立ちあがり、鏡に向かった瞬間に携帯がふるえた。「もしもし」と出ると
「今現在、なんか忙しかったり予定あったりする?」と遠回しな探りが入る。
同じ吉祥寺住人で生粋の男トモダチ。「ごはん?」と聞くと「イエース」との返事。

久しぶりなのに、「ひさしぶり。元気だった?」の挨拶もナシ。
互いがパッパとリクエストし合うので、食事する場所もさっさと決まる。
ひたすらうまいもんを喰い、飲み、好きなことを喋り倒し、気が済むとバイバイ
とそれぞれの住処へ帰ってゆく。たぶんこれからもずっとこんな調子なんだろう。

タイミングは、偶然と同義なんかじゃなくて、ちゃんと推し量られるものだ。
状況と場を読み、相手を知っているからこそ、ベストな時宜を得られる。
ヒッキーになりがちなわたしには、なんとも有り難い存在である。

2002年08月15日(木)
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