月のシズク
mamico



 夜の片隅で

長い夏休みを終えた学生たちが戻ってきて、昼間はあんなに賑やかだったのに、
夜はいつものように静かで、ひっそりとしています。窓の外に見える街の灯りも
ぽつりぽつりと消えてゆき、ゆっくりじんわり、闇が広がっていきます。

先週、肌寒い日が続いたとき、長袖のシャツの心地よさに秋を感じました。
昼間の空の高さ、つきぬける青の色、夕方のうろこ雲、輪郭をぼかしてゆく夜の月。
季節というのは、眼で捉え、肌で感じた瞬間に、移り変わるものなのですね。
夜の闇にキンモクセイのよい香りがします。

連休中、チェロをしょって、いろんな場所を旅しました。
なんて、都内をうろうろと移動しただけなのですが。久しぶりに電車やバスに
たくさん乗りました。リュックをかついだおチビさんが、ここにも、あそこにも。

私の堅いつやつやしたチェロケースを不思議そうに見つめながら、好奇心丸出しの
眼で「さわってもいい?」なんて訊かれたら、わらって「いいよ」と答えるしかない
じゃないですか。「なかにひとがはいってるの?」って、これは棺桶じゃありません。
おかげで、セクシーな私のチェロケース、小さな手形がここにも、あそこにも。(笑)

子供のあけすけなぶしつけさが苦手だったのに、いつの間にか、わらって応える
ことができるようになっていました。これがこの秋、最初に見付けた私の変化です。


2002年09月24日(火)
前説 NEW! INDEX MAIL HOME


My追加