月のシズク
mamico



 October Holidays

10月という季節の中に立つと、朝夕の空気の冷たさや、ふとした瞬間に感じるある
種のせつなさのようなもの気付かされる。連れだった親子の会話であったり、喫茶
店でのむ紅茶のきりりとした色合いだったり。世界から切り離された、その世界の
一部で私は何度もわらう。時に何かを受け入れ、時に何かを諦めるために。

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■ネットの世界はヴァーチャルで嘘っぱちだと思われがちだが、その向こう側に
 いるのはちゃんと血肉の通った人々だということを、もちろん、忘れていたわけ
 ではない。なんて前置きはさておき、初オフ会「三人会」に参加。名付け親は
 ナチュラル・ラブ の響子さん。発起人は So WHAT? のR魚さん。で、会場の
 セッティングがアタクシという役割分担ができていました。
 場所は吉祥寺某所の地下にあるノスタルジックな酒蔵。

 「一番近くに住む奴ほど遅刻する」という定説通り、お店に入ったときには
 すでに二人が奥のソファでくつろいでいる。「はじめまして」という挨拶は
 したものの、他人行儀はそこまでで、とにかく呑み、喰い、吸い、喋り倒す
 Rさんとアタシ。ネタ披露のオンパレードに当意即妙の言葉のピンポン。
 そんな私たちの傍若無人ぶりを、側でにこにこしながら眺めていらっしゃる
 響子さんの、美しく、奥ゆかしく、優しい視線に守られながら、トークは
 上昇気流に乗りあわやチャット・ハイの状態へ。いやはや、思考より先に
 言葉が滑りだしていました。えーっと、楽しかったです。はちゃめちゃに
 オモシロかったです。こちらもシナプスが接続しまくっています。(苦笑)

■今年の秋の学会が東京ということで、日曜の午後から参加。
 くそったれ耄碌ジジイ(某大学名誉教授)の発表に愛想を尽かし(あまりの
 稚拙さにキレそうになった)、若手研究者の熱意ある発表に刺激され、いい
 意味でも悪い意味でも小さな世界の素性を知れました。ま、私はわたしの
 スタンスでやっていきましょう。何十年かかっても譲れないことは変わら
 ないのですし、ね。

■ストレスを溜め込んだまま、吉祥寺サムタイムに逃げ込む夕方。
 「よぉ」と顔を合わせた男トモダチに「なんか先週しんどいことでもあった?」
 と訊かれ首をかしげる。曰く「その口調の荒々しさ、状態が悪い徴候だよ」。
 いや、そんなはずはない、と思いつつも先ほどの学会を思い出し「ああ」と
 納得。1stステージからラストステージまで、Chakaと仲間たちの気持ちのよい
 ライブに治癒される。人間てスゴイよな、と再確認させられる瞬間。
 Chakaのノーメイクの歌いっぷりに、荒れすさんでいた心がカチャリと音を
 立ててリセットされる。音楽、わたしの滋養。

■"Assemble le Souffle 004"(風をあつめて)の小冊子が仕上がってきた。
 今回は秋らしい装丁に仕上がっており、中編が多いので厚みがある。
 昨夜、客がハケた喫茶店で編集長に「はいっ」と手渡されたこの紙束の中には、
 私の初の小説(短編)もまぎれている。やはり自分の活字が印刷されて作品と
 なるのは嬉しい。寄稿している13名の文章をゆっくり、美味しい食事を味わう
 ように読む。言葉の向こうに、まだ会ったことのない人々の生活が立ちのぼる。
 言葉、これも外すことのできない、わたしの滋養。


2002年10月15日(火)
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