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■ 夢のはなし
隣りで規則正しい寝息を立て始めた「妹」が、くるんとカラダをこちらに向けて、 「らみねーと」と発音した。はっきりと「ラミネート」と。 驚いて「どうしたの?」と訊き返す。
「黒い文字で縦書きに、"ラミネート"ってみえたんです」 「夢、みてたの?」 「そう。それと、ケーキの中から中国人の男が出てきた」 「中国人のオトコ?」 「うん。三段重ねのウェディングケーキの、二段目と三段目の間に、 突然、にょきっと、背広を着て、七三わけした小さな男が出てきた」 「でも、なんで中国人ってわかったの?」 「うーん、なんでだろ。でもあれは中国人の男だった・・・」
そう言い終えて、彼女はふたたびすやすやと眠りに堕ちた。 明け方、今度は私が夢を見た。
サルと薄い灰色のサルーキー(犬)が、揃いの青い首輪につながれていた。 二匹とも、とてもおとなしく、そして青年ほどの年齢だと思われた。 隣りに八百屋の主人のようなエプロンと野球帽を被った男が立っていた。 「二匹で5000円。おねえさん、どうだい?」 と声を掛ける。二匹で五千円でいいの?と聞き返そうとして、そのまま立ち去る。 夕方、再び店の前を通ると、店の主人はサルと犬をひょいと持ち上げて、 アイスクリームが入っている冷凍保存容器に、二匹をぽいと入れた。 中を見ると、サルと犬がごろごろ冷凍されている。容器の右上には、 白い紙が貼られ、豪快な筆遣いで「五千円」と書かれていた。
そんな夢だ。
眼が覚めてから、「妹」にその話をする。 「妹」は、くふくふと笑いながら、「ふたりとも、へんてこな夢をみましたね」と言った。 窓の外は秋の空が美しく、ふたり並んでパジャマのまま煙草をすった。
そんな、ある秋の朝。

すてきな「詩」をいだたきました。ステキすぎて、まだお見せしたくない(笑)
2002年10月28日(月)
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