月のシズク
mamico



 飛行機雲

すばらしく美しい、飛行機雲を見た。

夕方の水色の空に、白い筆でまっすぐに「一」を書いたような、
尾びれの長い飛行機雲が、低くなった太陽の光に照らされて
よりいっそう、白く、白く輝いていた。

コンビニにカシミアのスコッティ(鼻にやさしいティッシュ)を買いに出て、
あまりにも空が美しかったので、その白い箱を小脇に抱えて(袋に入れて
もらわず、シールだけ貼ってもらった)、空が広くひらける場所を探して
うろうろと、住宅街を彷徨ってしまった。

道路の真ん中に、ティッシュの箱を抱えて立ちつくすオンナは、
そりゃ傍目から見れば相当に奇妙な光景だったろうけれど、
私が阿呆の如く空を見上げている姿を捉えた通行人たちは、
なぜか皆、つられて空を見上げていった。
そして皆、その理由を知る。にやり。

風、水蒸気、飛行機の行路、光、空の色、時刻、その場に居合わせたアタシ。
幾層にも重なった偶然に、感謝せずにはいられぬ瞬間。
そんな時、わけもなく、何かを信じたい気持ちにさせられる。


2002年11月14日(木)
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