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■ 白菜とキャベツ畑
喫煙室兼休憩所になっている廊下の端の小部屋に入ると(という説明は 数日前にもしたが・・・)ファブリスくんが「あっ」と小さな声を出す。 どしたの? と、ソファにカラダを投げ出しながら訊く。
「ボクね、マミコの夢をみたの」 ふむふむ、それでそれで、と身を乗り出すあたし。 「スーパーマーケットに行ったらね、自動ドアの前で両手に買い物袋を ぶらさげたマミコに会ったの」 へーえ、家庭的じゃん。それで? 「でね、その袋をのぞき込んだら何かいっぱい詰まっていたから、 "どうしたの?そんなにたくさんキャベツを買い込んで"って訊いたの」 ふーん。ロールキャベツでも作るつもりだったのかな。 「そしたらマミコ、すごーく冷たい口調で "白菜よ"って言った」 は? ハクサイですか。。で? 「それだけ」 ん? 「それでおしまい。でもすごーく冷たかったの。マミコ」
・・・そこでふとギモンが湧く。ファブリスくんは日本語がぺらっぺらだけど、 生粋のフランス人である。果たしてその夢は何語で語られたのか。
「ねぇ、あたしフランス語しゃべってたのかな?」 今度はファブリスくんが「うーん」と考える。うーん、どっちだろう、と。 「たぶんイメージだけ残っていて、眼が覚めてから日本語にあてはめたのかな」 うわっちゃ、さすがバイリンガル。スゴイ技ができるもんだ、と感心する。 「でもね、マミコ、すごーく冷たかったんだよ」 わたしの冷淡さに固着するファブリスくん。ごめんよ、と謝ってみる。
・・・そしたら今朝、広大なキャベツ畑で収穫に励むオンナがひとり。 言うまでもなくそれはあたくしで、ひとりなもんだから言語もなかったさ。 これはファブリスくんの恨みが呼び起こした夢だったのだろうか。不可解ナリ。
--- 【豆知識】 仏語でキャベツは「シュー」、白菜は「シュー・シノワ」と言うらしい。 「シュー」は、言わずもがな、シュークリームの「シュー」です。
2002年12月02日(月)
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