月のシズク
mamico



 思い立ったが吉日

毎年、元旦の朝には約束されたように雪が降る。
・・・がっ! 今年は目覚めたらナント青い青い空が広がっていた。

祖母とふたり、新年のご挨拶を終え、お節をいただき、雑煮を食べ、
ほろっと酔ったついでに、コーヒーカップを片手に外へ出てみる。
新しい朝の新鮮な空気を吸い込みつつ、いっぷく、ぷくぷく。

近所をふらふら歩いていると、西の方角に白い立山連邦が切り絵のように、
はっきり、くっきり、どっしりと、凛々しく連なっているのが見えた。近いっ。
尾根の先っぽまで見える。ありふれた古い住宅街の向こう、神々しい山々が迫る。
私はダウンのポケットをまさぐり、友に電話をかける。

「明けまして、おめでとう。あのさぁ、すごいんだよ、山っ」
「はぁ? どーしたの?」
「めちゃくちゃキレイなんだよ、山っ。でさぁ、ドライブしない?
 海まで。海岸線から見ようよ、山っ。こりゃめでたいよ、ぜったい」

ヂモトにずっと住まっている友には、たいして珍しくも何ともない光景なのかも
しれない。でも、元旦の朝、一年の始まりが、自然の雄大なチカラによって、
幕が明けられたかと思うと、何が何でもその光景をこのふたつの眼で
キチンと確認して、キチンと対峙したくなったのだ。これもサガ。

「あいよ。今むかえに行くわ」
合点承知した友は、言葉短に電話を切る。
冬の日本海は深い青をたたえ、その向こうに、白い神々の山が新年を祝福していた。




こんなかんじです。白い峰が美しい。

2003年01月02日(木)
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