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■ Wherever you are
たった2行の手紙だったのに、すべてがわかってしまった。 とり交わしてきた何百というメイルよりも、克明に、壮絶なまでに。
コーヒーカップを持ってベランダに出る。 すでにそらんじてしまったその言葉を、声に出して言ってみる。 声といっしょに、猥雑な色をした私の想いが、青い空へ消えてゆく。 立ち位置がわかってしまったのだ。これまでの、そして、これからの。
あんなに言葉をほしがっていたのに、いざそれを受け取ってしまうと 私はいつもその言葉の強烈さにおののく。芯からぐらりと揺れてしまうのだ。 もうそれは、立っていられないほど、激しく、優しく、私を打ちのめす。 いたぶるためでも、なぐさめるためでもなく、わからせるためのそれに。
私は、すでに失ってしまったものを、その形にみあった箱の中にしまう。 そして、それが永遠に 私のものになってしまったことを知る。 触れることも、抱きしめることも、言葉を交わすこともできないけれど、 いつまでも、どこへ行っても、私の中に在り続けるだろう。きっと。
テレビではブッシュが演説し、イラク攻撃開始の宣言をしている。 ついに、戦争が始まってしまった。画面には、夜明け前の空が映っている。
あのひとが見ている空は、どんな色だろうか。 この世のどこかで、生き延びてくれることを祈る。 心から、そう 祈る。
2003年03月20日(木)
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