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■ 桜、開花宣言
昨夜、終電を逃してしまった妹ちゃんが泊まりに来た。 「すいません」と、ひたすら恐縮する彼女に「いえいえ、夜行性同志だから」 とお風呂をうながす。規則的な生活の中に侵入する不意打ちは、むしろ好きだ。
たっぷり眠った朝、ベランダを開けはなって、ラジオを聴きながら軽めの朝食を摂る。 コーンフレーク、うさちゃんりんご、野菜ジュースにアメリカンコーヒー。 あたたかくなると、シャクシャクのコーンフレークがだんぜん美味しい。 つめたいかたまりが胃へ落下してく感覚に、季節の到来を感じる。
ラジオは、東京地方の桜(ソメイヨシノ)の開花宣言を伝えていた。 研究室に着いて、ふたり、申し合わせたようにベランダから身をのりだす。
「ここでいいじゃん」 眼下にちらほら咲き始めた、うすピンク色の桜を確認して、妹ちゃんはそう言う。 「だよね。お酒ものめるし、煙草もすえるし」 さっき、廊下のホワイトボードに、近くの公園で花見を催す告知が書かれていた。 「ここでいいじゃん」とは、わざわざ宴会盛りの公園まで遠出する必要なんて ないじゃない、という意味。眼下には、ベランダと平行して桜並木が続いている。
「ここでしちゃおう。夜桜もみよう」 みんなも呼んで、焼き鳥やビールを立ち食いしながら、ひっそり宴を開こう。 「東京タワーもみえるしね」 妹ちゃんのひとことに、決まりだっ、と思った。
私たちのランドマークが見える場所。 この場所から、今年も一年、季節の匂いを迎え入れてゆこう。
2003年03月28日(金)
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