月のシズク
mamico



 姉癖妹癖

先週のハナシ

「雨の日と晴れの日が交互にやってくるので、桜が心配になる」
という妹ちゃんが、ひょっこりうちにやって来た。
というのも、うちの近所にちょっとした桜の名所があるので
「春になったらお花見しましょ」と、ずっと前から私が誘っていたのだ。

キリリと冷えた白ワインを空けて、苺を一パック食べ尽くした後に、
ふたりで外へ出た。妹ちゃんは、私の薄い中綿入りのハーフコートと
ナイキのスニーカーを履いていた(散歩にヒールはそぐわないでしょ)。

ガードレールに並んで腰掛け、煙草をすいながら葉桜になりかけの桜をみる。
ふんわりした容姿に似合わず酒に強く、あぶなっかしげで、オトコに甘い。
若かりし頃のアタシを思い出させる。今でも若いつもりだけど、今のアタシ
には、彼女のような健気さは もはやない。まるで本当の妹のようだ、と思う。

翌朝

早くに出勤する私の物音に気づき、「おはよう」と起き出す。
カーテンを開き、ベランダに出て「ああっ」と頓狂な声を出す。
ドシタの?

「雨はふってないけれど、桜が降ってるっ」
見ると、お向かいの背高のっぽの桜が、バラバラと豪快に花びらを降らせている。
急いで淹れてくれたコーヒーをふたくち みくち飲んで、靴を履く。
外に出ると頭上から 花びらといっしょに、「いってらっしゃい」の声が降る。

コーヒーカップを持ったまま、妹ちゃんがベランダから手をふる。
なんだか若い夫になったようで、こそばゆい気持ちになった。

夕方

帰宅すると、テーブルの上にふたつのメモ書きと、顔付けされた果物。
いよかんに「ニャーゴ」と かわいくない猫さんの顔。
ふふふ、ぶっさいくな猫だなぁ。

・・・あ、今日は姉癖と妹癖を話そうと思ったんだっけ。
せっかくなので、ひとつづつ ご披露。
妹の癖は、姉に何でも報告すること。
姉の癖は、そんな妹をとことん甘やかすこと。


2003年04月11日(金)
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