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2003年09月10日(水)
眠れない。
空が白む頃まで起きていたくせに、ちっとも眠れなかった。 御主人様が腕枕を外すたびに、僕は目を覚ました。 とうとう御主人様は嫌気が差し、僕をロフトに置いて下へ降りていってしまった。 僕はいじやける。
そうしてひとりでいると、どうにも嫌な方向に考えは及ぶ。 「そういえば左隣の人いつ引っ越してきたんだっけ、たしか先週だよな…」 「そういえば右隣の人に、野良たちに餌やってるところ見られたっけな…」 足元に寝ている二号さんに気をつけながら考え事は進む。 「左隣の人、いつ越してきたのかわからないのになんで洗濯物あんだろ」 「ひょっとして洗濯機運ぶ必要がなかった…ってことは隣は何者…?」 「まさか大家の偵察?!僕が猫を飼ってるという真実を突き止めに来たのか?!」
スパイだ━━━━━Σ(゚д゚lll)━━━━━!!!
僕は確信した。 左隣の男(おそらく男)は大家のさしがねなのだ。 僕はいわれのない恐怖に襲われ、脈拍が上がり、身体が震え、 胃がキリキリと痛み始め、眩暈がし、吐き気をもよおした。
力ない声でご主人を呼ぶ。
ご主人は嫌々ながら文句たれながら不機嫌になりながらロフトへの梯子を上ってきた。 僕は今しがた思いついた恐怖を語った。 「このままではいけない。田沼や油断のみならず、二号さんまでが危ないよ」 「僕はどうしたら良いんだ。じゃあ油断にはもう餌をやらぬほうがよいのか」 「これからどうすれば無事に過ごせるか、僕にはもう想像もつかない」 「ばれたら、くびをくくるしか…手はない…」
完全に鬱である。 僕は目に涙を溜め、この先卒業するまでのことを考えた。 考えても考えても、鬱なことしか思い浮かばなかった。
ご主人
「何がスパイだ、おまえはホンモノの電波か。 っつーか二号さん飼い始めてから半年たってるじゃねーかよ。 何今更ビビッてんだ、馬鹿か? おまえは半年経ってようやく今の状態を理解したのか? 馬鹿にもほどがある、恐竜並だなw」
僕は真面目に考えはじめたのに。
そのあと、外出した二号さんが雄叫びを上げた。 どうやら油断にケンカを仕掛けたようだ。 「あたいの縄張りだよ!!あんたのせいでウチの飼い主が病んでるのよ!!」 とでも言いたそうに、二号さんは油断に覆いかぶさっていた。 当然二号さんの勝利。 油断は階段を駆け下りていってしまった。
二号さん、僕が気に病んでいることを理解したのだろうか。 普段はケンカしないよう油断を避けて外出していたのに、今日に限って。 二号さんの意思表明は、言葉ではなく、明確な行動であった。 「あたいがここ一帯を支配しているんだ。他の奴は関係ない。 あんただって意思くらいあるでしょ? あたいの意思はこうよ!」。
二号さんに勇気をもらいました。
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