Diary 有加利 【
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- 2009年09月13日(日) プチ連載「一護とルキアの立場が逆だったなら/出逢い編(仮)」その3
衝撃に一瞬少年は体のバランスを崩した。
左頬を押さえ、何が起こったのか理解できない様子でこちらをまじまじと見つめる。
やっと向こうがこちらの存在を意識したことに満足して、私は逃がすまいと少年の胸倉を掴んだ。
「人が集中して問題を解いている最中に真後ろから声をかけるやつがあるか!!大体なんだ、貴様は?今時はそういう恰好が流行りなのか??え?この変態コスプレ幽霊!!」
「だ、誰が変態の霊だ!!つーか、霊じゃねーし!・・・ん?というか、お前・・・!」
「きゃああああ!!」
少年の言葉はすぐ近くで上げられた甲高い声に遮られて最後まで聞こえなかった。
「!?」
はっとして少年を突き放すと、部屋のドアを開けて階下を見る。
背後から少年が不満げな声を上げていたがそんなことなど気にしている場合ではなかった。
「姉さま!!!」
姉がこちらに背を向けて座りこんでいる。へたりこんでいる、と言った方が正しい。
その華奢な肩は遠目にも震えていて、私の部屋に持っていこうとしていたであろう湯飲みが無残に割れて近くに小さな水たまりを作っていた。
「姉さま!何が・・・」
「逃げて!!ルキア!!!」
悲鳴のような姉の言葉と同時に家が揺れ、砂埃が舞う。
その影から現れたのは異形なものだった。