DiaryINDEX|past|will
| 2002年06月07日(金) |
Mathematical Methods for Dream |
『「どんな仕事に就いても、どんな人間とつき合っても、やっぱり、自分に都合の良い目標を近場で適当に見つけて、それに集中して、それに逃避して、それが自分の夢なんだって、思い込もうとするんです。人間ってそういう生き方しかできないんですよね。」』 (森博嗣『夢・出会い・魔性』)
身近な目標は、必要だ。ゴールが遠すぎるとき、まずは手っ取り早いところから手をつけていく。数学の問題を解くのに似ている。問題を見ただけで直観できる天才以外は、少しずつわかるところから手をつけていく。いくつかの特殊な仮定を施し、特殊な場合の解を得る。それからだんだんと仮定を外していき、最終的に一般解を得る。 だが、ときには仮定が邪魔な問題もある。「真理」に到達するためには仮定を最初からなくしたほうがいい問題がある。同様に、直接ゴールを目指したほうがいい場合がある。つまり、「勝負」を仕掛けるべき瞬間がある。今はまださしあたって「勝負」のときはない。だから近場の適当な目標に打ち込む。思い込めば楽だし気持ちが良い、たとえそのことを自覚していても。ただし、そうしながらも遠いゴールのことを常に忘れないようにする。近場の目標のベクトルの向かう先は遠いゴールなのだ。ゴールを、夢を諦めたとき、人間は本当の意味で「老いる」のだと思う。
『「なりたいものになれない人はいない。なれないのは、真剣に望んでいないだけのことだ。自分で諦めてしまっているからなんだよ。人間、真剣に望めば、実現しないことはない」』 (森博嗣『封印再度』)
|